【完】傷だらけのプロポーズ

屈託なく笑う大河さんを前に苦笑いしか出来ない。
大河さんを連れて行ったら、お母さんの事だから飛び上がって喜ぶに違いない。

もしも彼が’結婚’なんてワードを出したら、泣き出してしまうかもしれない。 大泣きした後にLILI BULEの副社長と知って腰を抜かすほど驚く事は目に見えている。

どうしよう…。 私の秘密、顔のあざの事を何一つ話せないまま、大河さんの中の話はどんどん進んで行ってしまう。

早く本当の事を言わないと…。思えば思う程、高校時代のトラウマが蘇って、自分を引き止めてしまう。

―――――

その週の金曜日の仕事終わり、結城社長のホームパーティーへと招待される。

大河さんは内輪だけの小さな会だと言っていたが、結城社長の自宅マンションは宮殿のように広く豪華で、ホームパーティーなんて枠の人数ではなかった。


彼女の周りの人間はどこかお金の匂いがする。 テレビで見るような著名人も来ていて驚いた。

お金持ちのホームパーティーはレベルが高い。 今日の為にちょっと良いワンピースを新調してきて良かった。 周りは皆ホームパーティーとは思えぬほど煌びやかな装いをしている。

そしてさっそく結城社長と話をしている人物を見て、動揺が止まらない。

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