【完】傷だらけのプロポーズ
「あさひッ…」
言いかけて言葉が止まる。 何故なら結城社長と話をしている朝比奈の隣には、真澄ちゃんの姿があったからだ。
「あれ?朝比奈くんじゃないか。母さんが誘ったのかなあ」
「そういえば…結城社長は朝比奈の顧客だって言ってましたもんね…」
「朝比奈くんの隣に居るの噂の彼女? 可愛い子だね」
「朝比奈には勿体ないくらいの美少女ですよね……」
まさか結城社長のホームパーティで朝比奈と真澄ちゃんの姿を見かける羽目になるなんて。
朝比奈はいつもより落ち着いた綺麗めのジャケットを着ている。その横で笑う真澄ちゃんも可愛らしいワンピースを着ていて、客観的に見ればお似合いだった。
ズンと気持ちが重くなるのを感じた。
真澄ちゃんは私に気が付いたようで、小さく手を振って微笑む。 朝比奈もちらりとこちらを見たけれど、直ぐに結城社長の方を向いてお得意の営業スマイルを浮かべている。