【完】傷だらけのプロポーズ
大河さんは忙しそうに挨拶に回る。 それでも私の視線はずっと朝比奈を捉えたままだった。
朝比奈も朝比奈で忙しそうに色々な人と話している。その横でにこにこと笑みを浮かべた真澄ちゃんは必ず居る。
私は真澄ちゃんのようにはなれない。
本当は彼女のように大河さんの横でにこにこと笑っていればいい。 ただ、自分に自信が持てないだけ。
私のような人間が大河さんの隣に居ていいのか、華やかな場所に居るにはどこか気後れしてしまう。 そんな事は気にしなくていいのだ。堂々と彼の横で笑っていればいいだけの話なのに、どうしてもそれが出来ずに居た。
「はぁー…」
…それにしても結城社長の知り合いの人って綺麗な人ばかりだ。
スタイルも良いし、モデルのような女性もいる。美容関係の仕事をしているのだから、当然と言えば当然なのだろうが…。
こんな場でも堂々としていられる真澄ちゃんはさすがというか、何というか。
一人で悶々としていると、私に気が付いた結城社長がやって来た。
「美麻さん!」
「結城社長、本日はお呼び頂きありがとうございます」
「そんなかしこまらないでよ。 久しぶりに会えて嬉しいわ。 大河が忙しそうで逆に申し訳ないわ…」