【完】傷だらけのプロポーズ
結城社長は実にハッキリと物を言う人だった。 若いモデルを前にして、物怖じしたりなんかしない。
この人は自分に自信がある人。だから年齢を幾ら重ねても美しいままなのかもしれない。
「こういったパーティーに来るモデルや有名企業の社長令嬢なんかにも大河は人気あるのよ。
でもあの子ってば母親の私から見ても人を好きになると一途で、好きな女性以外見えなくなるみたいなのよね」
「へぇー……」
私と結城社長が話しているのに気が付いた大河さんは、モデルの女性たちに断りを入れてこちらへとやって来る。
大河さんを取り囲んでいた女性たちが一斉にこちらに注目する。 そしてヒソヒソと何やら言っている。
注目をされているのは結城社長と大河さんと一緒に居る私だ。 このパーティーの主役の側に居る得体の知れない女。彼女たちの突き刺さるような視線が居たくて、視線を落として肩をすくめる。
「ごめんね、美麻ちゃん。」
「いえ、私の事は気にしなくていいですから」
「いいえ、大河あなたは少し気にするべきよ。 可哀想じゃない、彼女を一人ぼっちにして他の女と話しているなんて」