【完】傷だらけのプロポーズ

「おいおい、マジでブスだな。 眉毛は一体どこへ行きやがった」

メイクを落とした私の顔を見て、朝比奈がケラケラと笑う。

ムカつく位笑った顔は男前だ。 そう、中学の時出会った頃から朝比奈は典型的なモテ男だった。

成績優秀、スポーツ万能。甘ったるくて童顔けれどちょっぴり意地悪な顔をしていて、昔からその場の空気を読むのがうまくって、男からも女からもモテた。

私には意地悪な性格だったけれど、基本的に優しい。 先輩からも可愛がられ後輩からも好かれる。 どこに行っても頼りにされる性格。

だから東日百貨店で異例の出世頭と言われるのも納得が出来る。

「うるさいなあ。 あんたに言われたかないよ。 それより何の用事よ」

「新年会どうだった?
大企業LILI BULEのパーティーだ。随分豪勢だったんじゃないのか?」

「そういえば、結局ご馳走食べ損ねちゃった…」

「あはは~マジでアホじゃん。 勿体ねぇ~。」

「お腹減った……ハァー…ご馳走も食べ損ねちゃうし、今日はツイてない事ばかり起こる…」

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