【完】傷だらけのプロポーズ
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「本当にごめん…」
翌日、真澄に連絡を取ってお昼の休憩時間に合わせて渋谷のカフェに来ていた。
来て早々彼女へと深く頭を下げる。
仕事の合間にカフェと駆けつけてくれた彼女は、いつものふわふわとした可愛らしい感じとはまた雰囲気が違う。
長い髪をピシッと後ろでまとめて、LILI BULEの黒くシンプルな制服に身を包む。
顔を上げると明らかに怒っていて、眉をしかめながら唇をへの字に曲げる。 そんな仕草まで可愛いのだから、困りものである。
けれど直ぐに笑顔を取り繕って、小さくため息を吐く。
「謝らないで下さいよ。 本当は怒ってなんかいないんだから…」
「でも…ごめん。パーティーの日、置き去りにするような真似をして…」
「だからもういいですってば…!
それにあの日の朝比奈さん、すごくかっこよかった。ますます惚れ直しちゃいました」
「あの、それも…」
言いかけて、俺の話を遮るように真澄は手のひらをこちらへ向けた。