【完】傷だらけのプロポーズ

真澄ちゃんを見送った後、青く澄んだ空を見上げる。

あーあー…結局俺ってこのまま一生結婚も出来ずに独り寂しく老後を過ごしていくのだろうか。

結局かっこつけて美麻の後押しをしてしまった。 美麻は結城大河とこのまま付き合い続けて、いずれ結婚をする。

悪い男ではない。むしろ良い男だと思う。 だから、後押しをしたんだ。 顔のあざを気にするほど、小さな男ではないと思う。

つーかそんな小さな事を気にする男だったとして、美麻が泣きついてくる姿は見たくない。


15年前から、将来は君と生きて行きたい。 そう決めていた。

もうそんな事を考えるのは止めよう。 仕事、仕事をしよう。 今から顧客回りをして、恋なんて忘れる程仕事に没頭しよう。



そんな俺に、大河さんにきちんと話をしてくる。 そう美麻が俺の家に報告してきたのは、それから数日後の出来事だった。

どこか清々しい背中を見送りながら、引き止めたい気持ちでいっぱいだった。
今度こそ、君は行ってしまう。俺の手の届かない場所に。

素顔の君をこんなにも愛していたはずなのに、どうしても大切な事が言えなかった。

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