【完】傷だらけのプロポーズ

にこりと微笑むと、彼女はそれに合わせて今日一番の笑顔を見せた。

笑顔の可愛い人だ。あざがある状態でも表情がコロコロ変わって素敵な人だと思った。 でもきっとそれは彼女が自分自身の顔を受け入れているからだ。 そしてあざのある顔でも、そのままの状態が一番綺麗だって言ってくれる大切な人が隣に居る。

大好きな人に認められる事は自信へと繋がるのだろう。


結局彼女はリップの他にもLILI BULEの下地とファンデーションを購入してくれた。

ありがとうございます、と何度もお礼を言ってくれて。 「素敵な彼氏さんですね」と帰り際言ったら、私だけに聞こえるようにこっそりと耳打ちして言ってくれた。

「昔は顔のあざがコンプレックスで下ばかり向いて生きてたんです。
でも彼に出会えて、こんな大きなあざなのにそんな小さな事で悩むなよって笑い飛ばされて救われました。
それからは周りの目を気にせずに生きられるようになったんです。 今はこのあざも自分自身って認められるようになったけれど、メイクってやっぱり素敵です。
特別な日には、小田切さんに教えてもらったメイクをして彼とデートしようと思います。本当にありがとうございました」

< 232 / 271 >

この作品をシェア

pagetop