【完】傷だらけのプロポーズ
「ちょッ…何泣いて…。ごめんって…怖がらせて本当にごめん…。初めて見る人には衝撃的で不気味だよね…」
「正直びっくりはしたんですけど…そうじゃなくって。
私今まで美麻さんが綺麗で憧れだって言ってて、だから美麻さんにはきっと顔で悩みなんてないんだろうなーって勝手に思ってしまって。
もしかしたらさっきみたいに私が無神経に言った一言が今まで美麻さんを傷つけてきたのかもしれないと思うと…
本当にごめんなさい…。」
「佐江ちゃん…そんな事ないよ。逆に気を遣わせちゃってごめん…」
「私が美麻さんに対する評価は全く変わりませんからッ!やっぱり憧れだし、素敵だと思いますッ!」
「もー…分かったから、そんなに泣かないでよぉ…。」
そこに芽生えたのは、ほっこりとした優しい気持ち。
ずっと周りからどう見られてるのか、怖かった。
この顔のあざはメイクで隠せていたとしても、一生消えるものではない。
けれどもそれを受け入れて胸を張って生きている人。 素顔を見せても認めてくれる人が居る事。
どうして私は今まで、誰かを愛するように自分の事を愛してあげられなかったんだろう。 この頬に残る赤いあざさえも自分自身だと認めてあげられなかったか。