【完】傷だらけのプロポーズ

真っ直ぐと彼の目を見つめ、素顔の自分を見せる事。 初めからそれが出来ていたのならば、こんなに遠回りばかりの恋をしなくって済んだ。

私の顔の赤いあざを見て、彼はあの日のように戸惑った表情を見せ顔を伏せた。 それでも笑っていられるのは、やっぱり朝比奈が居てくれたお陰だよ。

誰もが目を逸らしたくなる醜い傷跡を、いつだって朝比奈だけが逸らさずにいてくれた。

「隠していて、ごめんなさい。 ずっと隠してたの。
大河さんの家に泊まった日も、スッピン風のメイクをして。そんなずるい真似をして大河さんと付き合っていた自分が情けないです…」

「その事なら、もういいんだ…。 俺、気にしないよ。」

「大河さんならそう言ってくれるってずっと分かってた気がします…。人の容姿で判断しない人だって言う事も…」

「ねぇ、美麻ちゃん本当に大丈夫だよ。 今は医療も発達してるし、そのあざだってきっと消せる。
俺美麻ちゃんの為ならお金はいくらでも出すし、だから一緒に居てよ。 俺は美麻ちゃんが綺麗だからってそんな理由だけで好きになった訳じゃないんだ」

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