【完】傷だらけのプロポーズ

その場で少しだけ身を屈めて、ゆっくりと大河さんは私の頭を撫でる。 そのままその腕が落ちてきて、顔のあざを優しく撫でた。

私の人生、もう一生こんな素敵な人に出会えるチャンスはないかもしれない。
一生結婚も出来ずに独り身。どこかで諦めかけていたのに、素敵な夢を見せてくれた。

でもあなたから貰い続けるだけでは、幸せにはなれない。 共に生きるという事は、互いの努力が必要だ。

「こっ酷く振られちまった。 美麻ちゃんとなら上手くやっていけると思ってたんだけど」

頬を撫でながら、子供のように無邪気な笑顔を浮かべる。 

「大丈夫、大河さんは素敵な人だからもっともっと良い人が現れる」

「振った男に優しくなんかすんなよ。 ねぇ、美麻ちゃん俺を振るなんて絶対後悔しちゃうんだからね。
でもさ、俺を振るんだから一つだけ約束して?」

「約束…?」

頬を撫でる手が離れて、目の前に小指を差し出す。

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