【完】傷だらけのプロポーズ
「かわいそうにねぇ」 このあざをまだ気にしていなかった幼少期時代に決まって大人が投げかけた言葉。
それを言われるたびに、自分は可哀想な子供なのかと私という存在を恥ずかしく感じるようになった。
小学校の頃から「気持ち悪い」やら「病気」だと同級生にはからかわれて、中学に入学する頃にはそんな子供染みた偏見やいじめは表面上なくなっていたけれど、その代わり陰で沢山色々な事は言われた。
だけど、朝比奈だけは違った。
朝比奈だけは、初めて出会った頃から私のこの顔のあざについて触れてこなかった。
その代わりと言っちゃなんだけど、別の部分は貶しに貶し抜いた。
『目が出目金みたいにでっかくて気持ちが悪い』
『鼻が外国人みたいにつけっぱなみたい』
朝比奈は昔から私以外の人物に中傷めいた事を言う人間ではなかった。
けれど、朝比奈が余りにも目立ちすぎる顔のあざ以外の部分を馬鹿にして私をいじめたから、その頃から私の顔にある大きなあざへの周囲への視線は余り気にならなくなったのは事実だ。
余りに朝比奈が私にばかり攻撃するものだから周りから同情されて、小学校から陰で続いたいじめさえぴたりと止んだ。