【完】傷だらけのプロポーズ
「やっぱり超馬鹿。 お前みたいな女が結城大河ほどの男に見初められる事はこの先絶対にないぞ…
そんなてめーの人生に舞い落ちるはずもなかった奇跡をみすみす手放すとは…
本当に馬鹿だ。これじゃあ一生誰にも相手にされまい…」
「あんたさー…さらりと失礼な事言うの止めてよ。 つーか何でそんなに泣いてるのよ…
朝比奈が泣くのなんて初めて見たんだけど…」
ずっとお前の事を想っては、泣いてきた。 そんなの知らねぇんだろう、馬鹿女め。
結城大河を振って、俺の所に来たって事はあらぬ期待をしてしまうではないか。
「俺をずっと泣かせてきたのはお前だろうが…」
「はぁ?!私が一体あんたに何をしたって言うのよ?!
つーか離してよッ」
無理やり体を引き離されて、不思議な表情で美麻が俺の顔を覗きこむ。
…涙なんて見られたくねぇのに、一度弱ってしまった涙腺は頬を涙で濡らしていく。
心配そうに眉毛を八の字に曲げた美麻は、細くて華奢な指で俺の涙を拭っていく。
いつも温かくて、側にあったもの。 触れられなくとも、ただただ笑って隣に居てくれた存在。