【完】傷だらけのプロポーズ
「私、朝比奈の側にいていいの…?」
こちらを見上げた瞬間に、頬にぽろりと涙が零れ落ちる。
その涙が君の隠したがっていた傷跡の上をゆっくりとつたっていく。
「いいよ…。しかたがねーから…一緒にいてやるよ」
「一生…?」
「当たり前だ。」
どうしても言えなかった言葉がある。 そのせいで15年間ずっと遠回りばかり。
いつしかこじらせていった君への愛が、今花開く。 左手の薬指を少しだけ揺らし、俺を見上げた美麻は、大好きな笑顔で笑った。
「嬉しい…。あのね、私朝比奈に言わなくちゃいけない事があるの。
私、朝比奈が好き。朝比奈と一生一緒に居たい」
その笑顔を前に、到底敵う訳もなく崩れ落ちて行く。 どうしてお前は、そんなに可愛いんだ。
力が抜けて、その場にしゃがみこむ俺を美麻がぎゅっと抱きしめた。
まだまだ顔を見て言う事は出来ない。 だって君を好きすぎて、こんなにも照れくさい。