【完】傷だらけのプロポーズ
「…それはこっちの台詞。 俺なんて15年前からずっと美麻が好きだ…。気づくの遅すぎ…馬鹿」
呟くように小さな声で言うと、美麻が驚いたように目を見開く。
立ち上がると、美麻の手を取り玄関の扉を開けた。
「どこに行くの?!」
「母さんの所、それに美麻のおばさんの所にも行かなくちゃいけねぇし」
「え?!え?!何で?!」
「結婚報告。 それに市役所にも行って婚姻届けも取って来なくちゃいけないし」
「はぁ?!私達付き合ってもいないのに…?!」
「15年も一緒に居たんだ。今更互いを知る間でもなく知り尽くしてる。 行くぞ!」
これからめまぐるしい毎日を過ごす事になるだろう。
交際なんて0日で構わない。そこには15年一緒に居たという確かな証拠がある。
15年も一緒に居たんだ。この先離れる事は決してないだろう。