【完】傷だらけのプロポーズ
やっと、一緒に暮らせる。 もう一枚壁を隔たった場所で過ごす事もない。 大丈夫。結婚資金ならば、就職してからずっと貯めている。
美麻と結婚出来る保証なんてどこにもなかったのに、馬鹿な男が勝手に暴走して貯めてきた結婚資金だ。
いつまで経っても過去の傷を傷跡に出来なかった君を、俺が世界で一番幸せにしてやる。
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「やっと結婚決めたの?遅すぎるわよね。ねぇ、ゆうちゃん。」
「遅すぎるわよぉ…。みーちゃんと私はずっと美麻と夏樹くんが結婚するの待ってたのに。
だから就職を機に一緒のマンションに住まわせたのに、あんた達全然その話にならないから。
はぁー…これでやっとお母さん、肩の荷が下りましたよ」
何故か実家に帰ると、そこには美麻の母親まで居た。 そして結婚報告をすると、大した驚きもしなかった。
「美麻ちゃんが本当の娘になるなんて、夢が叶った。 これで私達親戚同士ね、ゆうちゃん」