【完】傷だらけのプロポーズ
そして中学生の頃から覚え始めたメイクで、このあざは隠せるものだと知って、それからは顔のあざをメイクで隠して平穏な学生生活を送れるようになった。
「しっかし、女つーのは面倒臭い生き物だなあ。 塗りたくたって後20年もすれば君の顔は皺くちゃのおばさんだろう。
こんなのに高い金を出す女の気が知れないね」
「うるさいのッ!やるのとやらないのじゃあ全然違うんだから。 近頃は乾燥も酷いんだから。
それにうちの商品はすっごく良いの!美容液は2万超えるけど、社員だから割引きで買えるし」
「げぇ、こんなのが2万超えるとかぼったくりも良いところだなあ。 あ、ほらほらちゃんと塗れてないよ。2万がもったいない」
そう言って、朝比奈は私の右頬にやんわりと触れる。
彼に関してだけは、偏見や同情の目を向けられた事は一度だってない。
私が当たり前に存在しているように、私の頬にくっきりと浮かぶこの赤いあざさえ当たり前だという態度は出会った頃から変わらない。