【完】傷だらけのプロポーズ
大嫌い。でも本当は大好き。 信頼している。
ありがとう、感謝している。
ただの偶然とはいえ、15年間も常に側にいてくれたのが朝比奈で良かった。
いつだって素直に言えない言葉たち。けれど常に思っている事。
朝比奈、私の顔のあざを心の傷跡を、いつも見ない振りをしてくれてありがとう。
私達は恋人ではない。かといって友達でもなくって、友達以上家族未満のような名前がつけられない関係。
ずっとずっと一緒に居たい。そこにあるものが、恋や愛とは違っても。 これからも当たり前のような毎日が続いていくのだと思っていた。
私が居て、朝比奈が居る当たり前の風景が変わらずにあるのだと信じていた。
知らなかったのだ。見当すらついていなかった。
今日パーティーで出会った結城大河が、私達の変わらない関係を変えていく様に
私の中に不躾に飛び込んで来る日が来るなんて――
少しずつ運命は、目を覚ましていったのだ。