【完】傷だらけのプロポーズ

 ビューティーアドバイザー。 百貨店や専門店などでメイクをしたり、カウンセリングし、お客様の悩みや疑問に寄り添ってアドバイスをし、様々な化粧品の販売をするお仕事だ。

隣で恍惚の表情を浮かべるのは2歳年下の後輩の佐江(サエ)ちゃんだ。 店舗内では一番仲が良い、和風美人の彼女は「コンプレックスはおうとつの少ない地味顔」らしい。

切れ長の奥二重でそれぞれのパーツがバランスの良い彼女は、私から見ればキュートでチャーミングであるがいつだって自分の顔を卑下している。

「でも、美麻さんも結城社長に負けず劣らず美しいです」

彼女はそう言って、私をいつだって褒め称えてくれる。

素直で真っ直ぐ。嫌味な所が見当たらないから、私を憧れだと言ってくれる彼女の言葉は素直に嬉しい。

「佐江ちゃんはいっつも褒めてくれるから、照れちゃう。」

「嘘じゃないですよ!本気で思ってるんですもん! 美麻さんって本当に憧れ。目も大きくって鼻筋も通ってて…
私は典型的な日本人顔だから、結城社長や美麻さんのような顔になりたいんですよ~」

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