【完】傷だらけのプロポーズ

後に母から同じ中学に朝比奈くんっているでしょう?と訊かれた。

お母さんの昔からの友達の息子で、すっごく良い子なのと言われたので学校で私をからかう朝比奈の事については何も言えなくなった。

どうして、美麻ちゃんばかり苛めるの?
周囲はそう言っていたけれど、今思えばあれば苛めではなかった。

朝比奈は陰でも私の頬のあざについては一言も触れなかった。 今になって思う。

朝比奈が悪役を買って出てくれたことにより私は守られていた。  自分の一番気にしていて、コンプレックスだった場所を隠し続けてくれていたのだ。

―――――

「あれ?美麻さん風邪~?」

「ん~ちょっとね、ゴホゴホ、風邪ってわけじゃないんだけど」

「何ですかそのわざとらしい咳は…」

翌日、会社にマスクをつけて出勤する羽目になってしまう。
朝比奈め……。

あんなに餃子にニンニクを入れてくれたものだから、朝起きても匂いは消えなかった。
そして奴は今日公休を取っていたらしい。…やられた。

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