【完】傷だらけのプロポーズ

私は主にグリーン系のコンシーラーを使う。

グリーンは赤を打ち消してくれる色だ。 けれどハッキリと見た目グリーンの物でカバーをしようとすると、血色感がなくなる上に完全にはカバー出来ない。

皆がちょっとしたシミやクマを隠すような柔らかいコンシーラーではなく、少し固めのテクスチャーの物の方がカバー力はある。 なんといっても私のあざは大きく目立つから。

そしてパウダーファンデーションを重ねる。 そしてやっと顔のあざは消えてくれる。
とはいえ隠しているだけで、本当に消えてくれているわけではない。





LILI BULEの制服は上下黒のシックな物である。 首元のブルーのスカーフがアクセントになっている。

おでこが見えるよに髪を後ろで一つにまとめて、店内に立つ。 身なりをきちんとしていない人間が、人を美しくするBAとして表舞台には立てない。

もしも頬のあざを隠していない状態で接客したとしても、説得力がないだろう。 けれどコンプレックスを持つ私だからこそ出来る接客があって、寄り添える悩みだってある。

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