【完】傷だらけのプロポーズ
「てゆーか美麻さんの話で昨日のパーティーは持ち切りでしたよ」
「え?!」
「だって副社長と消えちゃったんでしょ~?帰ってこないから変だなあとは思いましたけど~女子社員発狂ものでしたよッ?!」
ニヤリとほくそ笑み佐江ちゃんが私の顔を覗きこむ。
最悪だ。 話は広がってしまったに違いない。大きく湾曲したまま。
「どうでした?副社長のテクは?」
「佐江ちゃん、すっごい誤解してる…!」
「だって美麻さんが副社長に抱えられてエレベーターに消えていったって。
その後結局二人とも帰って来なかったら誰でも勘ぐっちゃうものでしょう?
でもいいなあ。あの副社長に気に入られちゃうなんて、美麻さん綺麗ですもんね」
「だからすっごく誤解! 違うの、化粧室に行ったら八田さんと真澄ちゃんが揉めてて…」
「真澄ちゃんって渋谷店のお姫様?」
「そうそう。あの子って本当に可愛いよねぇ~。ってそうじゃなくって、あの二人が揉めてて止めに入ったら八田さんが悪酔いしちゃってて…
それを副社長が助けてくれただけなの。だから本当に何もなくって… 私、あの後直ぐに帰ったんだよ?!
そうしたら朝比奈が餃子を作って待ってて…だからこのマスクのざまなの。匂い取れなくって…」