【完】傷だらけのプロポーズ

人それぞれに悩みがあって、それを解消してありがとうと言われるのはとても気持ちが良い。 誰しもがコンプレックスを抱く。 私達の仕事はそれを手助けする事だ。

「ありがとうございました。」

先程のお客様はアイシャドウパレットとリップを一つずつ買っていった。
お客様の素敵な笑顔を見れた日は、決まって良い日だ。

デパートに並ぶコスメ達は決してお安い代物ではない。だからこそ、納得がいくまで吟味して購入して貰いたい。

あのコスメ達が、どうか彼女の幸せな未来の為に使われていきますように。 深くお辞儀をして、顔を上げた時だった。

「ひぇッ…!」

「お疲れ。どうした?風邪か?」

思わず後ずさり、ガラスケースに体がぶつかる。
その反動でケースの上に並んでいたハンドクリームとボディクリームが音を立てて床に落ちた。

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