【完】傷だらけのプロポーズ

「申し訳ありませんが、恋人を作る予定はありません。 ご馳走様でした。休憩も終わりますので、行きます」

視線を振り払い立ち上がると、彼の大きな声が公園内に響く。

「ちょっと待って…!」

「だから、あなたとはお付き合いできません…!」

立ち上がりこちらへ慌てて駆け寄ってきたかと思えば、ぎゅっとパンの入った紙袋を手の中握らせた。


その中にはくしゃくしゃになった紙切れ。 ゆっくりと中身を開くと、携帯番号が書いてあった。

「せっかく買ったんだから、持って帰ってよ。メロンパン」

「この紙切れは?」

「それは俺の番号。もし気が変わったらいつでも連絡しておいでよ。 こう見えても、気に入った女性には一途な方なんだ」

だからそんなの聞いていない!
それでもどこまでも強気な彼は、一歩も退く様子が見られない。

「連絡しません!」

「また店舗の方に顔を出すよ。 ランチでもディナーでも君の行きたい場所に付き合う」

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