【完】傷だらけのプロポーズ

とはいえ、高校に入って少し変わった関係。

周囲は知らない人達ばかり。 朝比奈は中学時代のように表立って私をからかったり、いじめたりはしなかった。

それでもいつだって隣に居た朝比奈は目立っていた。

『A組の朝比奈くん超かっこいいよね』
『うんうん。アイドルみたい!』
『それに性格もすっごく優しいの』

そして同じ中学で常に一緒に居た私達は周りからよく訊かれた『二人って付き合っているの?』と。

そう訊かれた時朝比奈は決まって得意な顔をして言うのだ。

『この俺がこんなブスと付き合うかよ』と。

同級生からも先輩からもさっそくモテた朝比奈は、高校に入学して一ヵ月すぐに1個上の彼女が出来た。

肌が真っ白でお人形さんみたいな子だった。

中学の頃からモテて彼女が常に途切れないような人だったけれど、誰か一人と長続きした事は私が知る限りない。

その頃には私のメイクも上達していて、顔にあるあざは隠しきれていた。
自分の秘密を知らない場所で新しい生活を始めたかった。
その願いは朝比奈の出現により儚く散ってしまったのだが。

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