【完】傷だらけのプロポーズ
高校時代は、自分史上最高のモテ期でもあった。
入学して数ヵ月、数人の男子から告白された。 そのたび朝比奈は馬鹿にしたように「趣味の悪い男だな」と悪態をついていた。
何となく誰とも付き合う気になれずに告白は断り続けていた。 ちょうどこの頃購買のメロンパンにハマっていて、毎日のようにお昼に購買にパンを買いに来ていた。
一つ年上のバスケ部の先輩のグループの中に、ひと際目立つ人が居た。
背がとても高くて、入学早々話題になっていた人物だ。 名前は達哉先輩という人だった。
その彼と毎日のように目が合う。最初はこちらが意識をしているせいかと思っていたが、私と目が合うと照れくさそうに微笑んで、周りに居た友達と何かを話していた。
そんな達也先輩から告白されたのは、夏の始まりだった。
初めは断った。 けれど彼は少しだけ強引だった。
何度も告白されるうちにやがて折れて、付き合うようになった。
初めての恋愛は楽しかったし、知らなかったドキドキを沢山体験させてくれた。
そして付き合って3ヵ月後。 初体験を済ませる。 その際、私は生まれつきの右頬の赤あざを彼へ見せた。
’大好き’とか’可愛い’って言葉を何度も言ってくれた。 そんな彼を信じて、隠せるようになってからは誰にも秘密にしていた事を話した。