【完】傷だらけのプロポーズ
「だって~!もったいないですよぉ~ッ。副社長ですよぉ~?!玉の輿!超玉の輿じゃないですか!
それに副社長ってああ見えて女性には一途って情報も聞いています。
元カノがLILI BULEに元勤めていたらしいんですけどね、その人は違う人と結婚しちゃったみたいなんですけど、5年も付き合っていたんですよ。
しかもあんなにかっこよくってモテるのに浮気とかは一切しないらしいですッ。」
「へぇ~……」
「何ですか、その気のない返事は~…。
いいじゃないですか付き合ってみたって、だって美麻さん彼氏いないんでしょう?
合わなかったら別れればいいだけの話なんですから、お試しでも付き合ってみればいいのに…」
俺が嫌なら別れればいい。 確かに彼もそう言っていた。 そりゃあそうかもしれないけれど、もう面倒くさいのだ。
誰かに期待する事も、裏切られるのも嫌だ。 自分が傷つくのはもっと嫌。 だからこそ諦めた。女としての幸せの全てを放棄したのだ。
「無理。絶対に無理。
それより早く開店準備終わらせちゃいましょう。今日は土曜日だからきっと混むわよ。
気合い入れ直さなくっちゃ」
「もぉ~ッ。仕事ばかりじゃなくって恋もしなきゃ女も枯れていきますって~」