【完】傷だらけのプロポーズ

余計な事を。

知っている。 30後半を迎えるこの店長が、私と結城大河について面白がっているのは。
悪い人ではないけれど…こういう断りずらくされるの、すごく困る。

更に頭が痛いのは、その店長に佐江ちゃんが加勢した事だ。

「そうですよ、店長の言う通りです。いいじゃないですかあ、美麻さんってばあ」

「じゃ、じゃあ、佐江ちゃんも一緒に。上がる時間も一緒だし」

「え~、美麻さん何言ってるんですかあ?そんな野暮な事出来ませんよぉ。
それに私今日合コンだし、だって折角の土曜日の夜ですよ?」

店長と佐江ちゃんが余計な事を言ったせいで、彼に送って貰う羽目になってしまう。

…最悪。
こういう風に責められちゃあ断りずらくなるってもんじゃないか。

けれども結城大河はご機嫌で、ニコニコと笑っている。


社員入り口で二人で並んで歩いていると、嫌でも目立ってしまう。 突き刺さる視線を前に、顔を隠すように歩く。 隣に居る彼はそんな視線に臆することなく、私へ話を掛け続けた。

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