【完】傷だらけのプロポーズ
その言葉にフッと乾いた笑いを卓は浮かべた。 失礼な奴だ。 28歳になってまで、二股だか三股だかしているまともではない男だ。
俺のこんなにピュアな恋心を理解は出来まい。
「まあ、美麻は綺麗だとは思うけど… それにしたって、夏樹モテるじゃん。
生まれてから今までずっとモテ期だろ。 それなのに勿体ないよ。どんな良い女と付き合っても長続きしないんだから」
「仕方がないだろう…。どんな女と付き合ったって、美麻以上の女がいないんだ。
あいつは確かに顔もすげぇ可愛いけど、中身がもうめっちゃくっちゃ可愛いんだ。
中学時代から俺がからかうと、本気にして顔を真っ赤にさせながら反抗してきて…もうそんな顔みたら抱きしめたくって仕方がなくなる程可愛いんだ。
それに頑張り屋で努力家で、卓は知らないかもしれないけど実はすっげぇ優しいんだ」
俺の余りの力説ぶりに卓はドン引きしている。
俺と美麻の母親は、親友同士だ。 学校が一緒になったのは、中学になってから。
学校が一緒になる前から、母親に話は聞いていたので美麻の事は知っていた。 偶然同じクラスで席が隣になってから、一目惚れをしたあの日。
あの日から気持ちが変わった事はない。