【完】傷だらけのプロポーズ
大きな瞳に、整った顔立ち。 けれど、右頬には大きな赤いあざがあった。
彼女はそれを酷く気にしているようだけど、始めから全然気にならなかった。 寧ろ見つけやすくて良いチャームポイントだと思った。
けれどそれを気にする彼女だって可愛い。 俺以外が美麻を苛める事は許さない。 そういった理由で、ずっとずっと美麻の1番近くに居た。
美麻の気を引くため、はたまた美麻への気持ちをかき消すために様々な女と付き合った。
それでも結局は彼女の元へ気持ちが帰ってきてしまう。 この現象を卓は’呪い’と呼んでいる。
「そこまで美麻の事が好きすぎる癖に告白出来ないってどういう脳みそしてんだ。
つーか、こんなアルバムまで作って乙女か、お前」
本棚から卓が取り出したのは、とあるアルバムだ。 その中の写真はこの15年間の俺と美麻の思い出が詰まっている。
自分ながら女々しい男だとは思う。している事は、卓の言う通り恋する乙女だ。
ビールを飲みながらパラパラとアルバムを捲る卓は、馬鹿にしたように口角を上げて笑う。