【完】傷だらけのプロポーズ
はぁ?!?! 俺は15年前からお前と結婚を考えているのに、誰とも結婚を考えた事ないって酷すぎないか?
俺は料理も家事も得意だし、職場でも優秀だ。 絶対に結婚するには優良物件としか思えないけれど?
なあ、どうしてお前って俺の事そこまで男して見てくれないんだよ。
「でも……あんなに真っ直ぐに想いをぶつけてくれたら、揺らぐ…」
ゆらぐ?! 揺らぐって何が…。
真っ直ぐに想いをぶつけるって…そんなの小学生にでも出来る。 …俺は28歳になっても出来ないけど。
潤んだ瞳で頬を赤らめて、どこかふわふわとしている美麻の少女のような顔。 それじゃあまるで、恋の始まりのようではないか。
頭がクラクラする。 横に居る卓が同情とも取れる哀れみの目をこちらへ向ける。 今にも泣きだしてしまいそうだった。 それでも口から出る言葉は、正反対な事ばかり。
「金に目が眩んで揺らいでいるだけだろう…」