【完】傷だらけのプロポーズ
05「寒い冬から始まる突然の口づけ。」
05「寒い冬から始まる突然の口づけ」
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高校時代の初彼氏。達也先輩で痛い経験をしてから、こんな私でも数人恋愛関係になった男がいた。
大学は学部こそ違えどまた朝比奈と一緒になってしまい、友達関係は続けてきた。
高校の酷いトラウマから、他人に素顔を晒す事はしなかった。
素顔を明かさないのは、心を許さないのと同じだ。 そんな付き合いをしていくうちに、恋愛関係になった男にも『美麻の考えている事が分からない』と言われた。
そんな事を言われ続けていくうちにお互い疲れてしまって、結局駄目になった。 『美麻って本当は朝比奈くんの事が好きなんじゃないの?』これも何度言われたか分からない。
朝比奈はただの友達。 いや、友達以上。やはり素顔を晒せるという時点で私にとって朝比奈は特別だったのだ。
でも知り合った中学時代から、朝比奈の歴代の彼女たちは見続けて来た。決まって可愛かったり綺麗な子ばかりで、朝比奈に彼女が出来ると寂しい気持ちになったりもした。
『彼女も女友達も大切じゃん』朝比奈はそう言ったけれど、彼女が出来てしまうとやっぱり気を遣って連絡を控えてしまう。 そしてその彼女と別れると、最低だけど嬉しかったりもした。