【完】傷だらけのプロポーズ

けれど、もしも朝比奈に付き合おうと言われたら…? 想像するのも無駄な事を考えたりもした事がある。

不思議な感情。

いつだって安心していた。朝比奈はどんな人と付き合っても、いつだって終わりを迎える。
漠然とずっと一緒に居てくれるって思っていた。 一緒に居て欲しいと願っていた。



けれど、私も朝比奈も28歳だ。 結婚をしていてもおかしくはない。 学生の頃のように、友達としてずっと一緒にいられるわけじゃない。

朝比奈はいつか、心に決めた人と結婚してしまうだろう。 そして当たり前のように家庭を築き、家族が出来る。

朝比奈が結婚したとしても友達関係は続けられるだろう。 けれど、変わっていく朝比奈を私は受け入れられるだろうか。


恋人なりたいなんて望んだ事はなかった。
けれどたまに思う。


朝比奈を一番知っている自分で居たい。 それのどこが独占欲と違っていたのだろう。

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