【完】傷だらけのプロポーズ

捨てきれなかった紙切れは何の意味も持たない。 だって結局は番号の交換をしちゃって、こうやって誘われるままに食事にまで来ちゃってるんだから。

口では否定していても、言葉と行動は伴わない。
私って結局周りと同じ。浅はかな思考回路の持ち主なのだ。


だってLILI BULEの副社長って肩書は魅力的。

それに大河さんは副社長であるというのに偉ぶった所はないし、コロコロと変わる表情はまるで子供みたいだ。

朝比奈の言う通り、お金に目が眩んでいるだけなのか。 いや、そうではない。 お金というよりかは、彼の持っているステータスの方に興味がある。 周りから好かれていて、女性ならば選び放題であるというのに私を特別視してくれる。

その心は、自分の中にある醜い承認欲求を満たしたいだけだ。 それは朝比奈の言うようにお金に目が眩んでいるより、よっぽど愚かではなかっただろうか。


本当に醜かったものは、この頬を隠している赤あざだったか
それとも自分の心の中に潜む醜い感情。どちらだったのだろうか。

「美麻ちゃん、今日のアイシャドウ可愛いね」

「あ、これは…LILI BULEの冬の新作で」

「うん。知ってる。」

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