カフェのイケメン君が私のウソ彼です

「それでは私にまだチャンスがありそうですね。フリじゃなくて、本当に攻めますからね。」


私を見つめる瞳がとてつもなく優しいことに気がつく。
まるでなにか温かいものに包み込まれているような気分になって尚更泣きたくなった。


泣いてもいいですよ、という言葉とともに1筋の涙が頬を伝った。


今日帰ったら浩くんに連絡を取ろう。
そして会う約束を取り付けて、関係を終わりにしよう。


浩くんのためにも、藤堂さんのためにも、
そしてなにより自分自身のために。


そして今度1からまた藤堂さんと向き合うんだ。
それが恋愛という形になるかは分からないけれど。
それが今の私がとれる最善の方法なんじゃないかな。


藤堂さんは車で駅まで来ていたらしい。
本当は送りたいけど、しつこい男は嫌われるっているから今日はここで、と言って改札をくぐる私を見送ってくれた。


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