カフェのイケメン君が私のウソ彼です
あ……なんで今ここにいるの。


浩くんが荷物を抱えて歩いていた。
女の人と一緒に楽しそうに話をしながら。


見間違えるはずがない。あれは絶対浩くんだ。


一緒にいるのはお店に人かと思ったけど、多分違う。
店員の顔はこんなに通っていると大体分かる。
最近行っていないからバイトの子は変わったりするだろうけど、もっと仲良さそうに見える。


やっぱり浩くんの優しさは私だけに向けられたものではない。


勘違いするな、って自分で戒めていたはずなのに、やっぱり勘違いしている。


女の人が浩くんに腕をからめた。それを笑いながらで受け入れている。


もしかしてあの人が浩くんの好きな人?


そうであっても、違っても私は早く身を引かなきゃ。


近くにいるのに話しかけることすらできないことがこんなにも悲しい気持ちにさせるなんて思わなかった。


大丈夫、きっと次に会ったらちゃんと話せる。
自分自身にそう言い聞かせることでしか自分を保つことができない。
< 137 / 187 >

この作品をシェア

pagetop