カフェのイケメン君が私のウソ彼です
「やっぱり言ってないんですね。ちゃんと言える人がいるなら言ってきてください。それで、きっちり振られでもしたらまた、私に連絡でもください。」


しっかりと私の目を見て、浩くんと向き合えと諭してくる。そして最後の方は冗談半分に笑って私の背中を押してくれる。


「泣くのはまだ早いですよ。ほら、行って来たらどうですか。」


頑張って涙をこらえている顔は滑稽だと思う。
それでももう一度笑顔を作り直す。


ちゃんと気持ちを伝えたい。
浩くんに別れを告げてからずっとくすぶっていた気持ちはこれだったんだ。


「ありがとうございます。」


頭を下げると走り出した。


「ちゃんと幸せになってくださいね。」


藤堂さんのつぶやきは私には届くことはなかった。
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