カフェのイケメン君が私のウソ彼です
話は会ってからしたいけれど、少しでも早く浩くんと繋がりたかった。そして浩くんと会えるという確証が欲しかった。


ヒールの靴で走ることなんて滅多にないから、足が悲鳴を上げている。それでもスピードを緩めることなく前へ前へと進んでいく。少しでも早く着くように。


Closeの札がかかっている前で立ち止まる。
ドアへ伸ばした手は震えていた。


もしこれが開かなかったら?
開いてもいなかったら?
浩くんの恋人とここにいたら?


なにがあっても伝えなければ、と思う一方で、悪い予想のどれか1つでも的中したら私の心は折れてしまうのではないかと思う。


ゆっくりと押してみる。


ベルの音がして開いた。


中に入るとバタンと大きな音をたててドアは閉まってしまった。


< 156 / 187 >

この作品をシェア

pagetop