カフェのイケメン君が私のウソ彼です
すぐにかけなおしたのか、また震えだしたスマホ。


きっと悪魔は私が出るまで電話を鳴らしているだろう。
余程の用事がないと連絡を取らないから、ここで電源を切ったら後悔することもわかっている。


先輩に促され、しょうがなく、すみません、と言って席を立った。


外に出てまだ震えているスマホを見る。
やっぱり表示されている名前は変わらなかった。


あきらめと似た気持ちで電話に出る。


「遅い。すぐに出ろといつも言っているだろ。」


開口一番はお説教。
こうなると分かっていてすぐに出なかった私も悪い。


「すみません。会社の上司といましたので。」


「だからどうした。それより、家を出るときの約束を覚えているな。具体的な話が決まった。約束まであと1年だ。話は進めておくからな。」


1年後には私が約束を果たせないと決め込んでの電話だ。
もう本格的に逃げられなくなった。


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