カフェのイケメン君が私のウソ彼です
また裏口から外にでて鍵をかけている。


「家、どっちの方?」


「あ、ここの最寄駅で大丈夫。」


「電車まだあるの?」


遅い時間になったことに後悔する。
こんなに時間をとらせてしまっていたんだね。


「えっと……その歩いて帰るから。」


「じゃ、家まで送る。彼氏の特権でしょ、そういうの。」


もう一度、どっちにいくのと聞かれたから、左、と小さく答えた。


自然に自分のことを彼氏っていう浩くん。


その響きにドキッとする私とは対照的に、なんとも思っていなそうに歩き始める浩くんを見ると、寂しさがこみ上げてくる。


当たり前なんだけどね、私の嘘に付き合ってもらっているだけだし。


2人で並んで街頭でともされた道を歩く。
こうやって一緒に入れること自体奇跡なんだよね。


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