カフェのイケメン君が私のウソ彼です
藤堂さんが初めて参加したパーティーで具合が悪くなった時に私が声をかけたらしい。
それが嬉しく、一度きちんとお礼をしたいと思っていた。


藤堂さんの話は大体そんなことだった。


藤堂さんの語る話は自分のことではないみたい。
だって私は社交的でもなければお人好しでもない。


「人違いってことはありませんか。」


私があまりにも困惑した様子を表情に出していたからだろうか。少しだけ笑って私の言葉を否定した。


「間違いありませんよ。いつか自分に自信が持てるよになったら話かけようと思っていたのですが、途中からお見掛けすることがなかったので。」


確かにそうだ。
私は父と大学進学について話し始めたあたりからほとんどパーティーなどには参加していなかった。


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