コイノヨカン
「栞奈ちゃん、大丈夫?」

座り込んでいる私を、萌さんが探しに来てくれた。

「大丈夫です。すみません」

「いいのよ。それより、本当に大丈夫?」

「はい。実は凜さんとは共通の友人がいて、そのことで誤解されたようです」

「そう」

それ以上、萌さんは聞こうとはしなかった。


「今日忙しくないから、早退してもいいわよ」

「大丈夫です」

「無理しなくてもいいのよ」

「はい。それより・・・専務には黙っておいてください」

「了解」

もしかして、萌さんは気付いているのかもしれない。
でも、何も言わないでいてくれる。

「ありがとうございます」
それ以外の言葉が見つからなかった。
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