コイノヨカン
「ただいま」

「お帰りなさい」

お屋敷に帰ると、奥様が迎えてくれた。
並んで入ってきた渉さんと私に不思議そうな表情。

「栞奈さんも一緒だったの?」

「今そこで」
「2人で出かけたんだ」

ええ?
渉さん・・・

「そうなの。あら、立派な野菜」

「ああ。もし夕食の準備がまだなら夏野菜の天ぷらを作りたいんですが」

「美味しそうね。お願いするわ」

奥様との微妙な空気。
気まずい。

「私、先に着替えてきます」

ギッと、渉さんを睨んでから私は離れに向かった。
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