コイノヨカン
「すみません」

階段を駆け下り、朝食を待たせてしまったことを謝る。

「いいの。どうせ希未がわがまま言ったんでしょう?」

「いえ、そんな」

「お母さん。栞奈さんって凄いのよ。私が分からなくて困っていた数学をさらっと説いちゃったの」

「あら、よかったわね」

「ねえ、もう少し栞奈さんにいてもらっちゃいけない?来週のテストの勉強を見てもらいたいの」
「それは・・・」
2人の視線がこっちに向く。

「ねえお願い」
希未さんにかわいく手を合わせられ、

「栞奈さんが迷惑出なかったら、そうしてもらえないかしら?」

楓さんにもお願いされて、私は困った。

こんな話に乗ってもいいだろうか?
あまりにも図々しい気がするけれど・・・

「ねえ、いいでしょ?」
希未さんは本気の様子。

「それは・・・」
さすがにハイとは言えず、私は黙るしかなかった。
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