コイノヨカン
その夜、渉さんは離れに泊まった。

ベットを使ってと何度言っても聞いてはくれず、ソファーで寝てしまった。
一方私は、不甲斐ない自分への後悔にドップリ浸かりながらベットに入った。

渉さんからは、なぜ嫌なことは嫌と言わないんだと叱られた。
「行きたくないなら断れ、嫌なことをされればイヤと叫べ」と子供でも分かるような事を言われ、さすがにへこんだ。
でも、私にはできない。
凜さんもあの場にいた人達もみんな渉さんの身近な人だから、私が騒げば渉さんに迷惑が掛かってしまう。


ピコン。
母さんからのメール。

『最近忙しいの?時々顔を見せなさい』

フフフ。
きっと父さんが言わせているんだ。
週末帰ってみようかな。

なかなか寝付けないまま、気がつくと空が明るくなり始めた。
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