コイノヨカン
「ごめんなさい、お待たせ」
いつもの助手席に乗り込む。
「うん。俺も今来たところだから。体、大丈夫?」
いい加減その言葉は聞き飽きた。
「平気。すっかり元気」
胸をポンッと叩いて見せた。
これは強がりではない。
本当に元気。
助かったことに感謝の気持ちこそあれ、恨みや、恐怖心は少しもない。
「警察の捜査は行き詰まっているみたいだな」
ボソッと、呟く声。
渉さんは、警察に凜さんのことを伝えるべきだと言っている。
きっと犯行に関わっているはずだからと。
でも、私は反対。
そんなことをしても、誰の得にもならない。
「少なくとも、ホテルは被害を受けたけどな」
それでも被害がないというのかと、主張する渉さん。
同じようにホテルに勤務するする者としては、火事を起こされたホテルに申し訳ない思いはある。
「だけど、焼けたのはあの部屋だけで。他の部屋に被害はなかったし、保険だって出て損はないはずじゃない」
「お前、本気で許す気か?」
渉さんの、呆れた顔。
「もう終わったことです。忘れましょうよ」
「お前・・・」
絶句したまま、私を見つめた。
いつもの助手席に乗り込む。
「うん。俺も今来たところだから。体、大丈夫?」
いい加減その言葉は聞き飽きた。
「平気。すっかり元気」
胸をポンッと叩いて見せた。
これは強がりではない。
本当に元気。
助かったことに感謝の気持ちこそあれ、恨みや、恐怖心は少しもない。
「警察の捜査は行き詰まっているみたいだな」
ボソッと、呟く声。
渉さんは、警察に凜さんのことを伝えるべきだと言っている。
きっと犯行に関わっているはずだからと。
でも、私は反対。
そんなことをしても、誰の得にもならない。
「少なくとも、ホテルは被害を受けたけどな」
それでも被害がないというのかと、主張する渉さん。
同じようにホテルに勤務するする者としては、火事を起こされたホテルに申し訳ない思いはある。
「だけど、焼けたのはあの部屋だけで。他の部屋に被害はなかったし、保険だって出て損はないはずじゃない」
「お前、本気で許す気か?」
渉さんの、呆れた顔。
「もう終わったことです。忘れましょうよ」
「お前・・・」
絶句したまま、私を見つめた。