コイノヨカン
ガラガラ。

「いらっしゃいませ」


「おお健、久しぶり」
「ああ」

大地と健が挨拶を交わす。


健がウーロン茶を頼み、大地と俺がおかわりを追加。

「健、飲まないのか?」
結構いける口のはずだが。

「酒を飲んで聞くような話しじゃないんだろう?」

どうやら、感ずいているらしい。
それなら俺も話しやすい。

「じゃあはっきり言わせてもらう、持って回った言い方は苦手なんだ」
俺はカウンターに書類を投げた。

書類に手を伸ばす健。
俺は黙って見ていた。



「酷いな」
人ごとのような健。

「そうだな」
俺も頷いた。

おばさんは、搬送中の商品を盗んで勝手に処分していた。

大地の揃えた証拠には、商品窃盗の依頼とその契約。
すべての金の流れが分かる証拠が記載されていた。


「で、どうするんだ?警察に届けるか?」
「そんなことをしたら、お袋さんが捕まるぞ」

健の言葉に、大地が反射的に口にした。

「じゃあどうするんだよ」
投げやりな健。

まあな、この状況はどっちに転んでも健にはピンチだろう。

「健、お前はおばさんを説得できるか?」

「は?」「はあ?」
大地と健の声が重なった。
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