コイノヨカン
別れのヨカン
生まれ、育ち
9月の終わり、私は松田のお屋敷にお邪魔した。
久しぶりねと迎えられ、懐かしさで一杯になった。
ほんの1ヶ月ほど前までここで暮らしていたはずなのに、今は思い出のようになってしまった。
「落ち着いたの?」
「はい」
「ごめんなさいね。あなたを巻き込んでしまって」
奥様が謝ってくださるけれど、
「いいえ、私にも原因があったと思いますから」
きっと誰が悪いわけでもなく、運命だったんだと思う。
少なくとも今はそう思える。
「希未ちゃん、ごめんね。途中で家庭教師を辞めることになって」
帰宅した希未ちゃんも混じって、女子3人でお茶を頂いた。
「大丈夫です。栞奈さんのお陰で随分成績も上がったんですよ」
「そう」
それは良かった。
「ねえ、栞奈さん」
奥様の真面目な顔。
「何でしょう?」
「渉と付き合っているの?」
「・・・」
答えられなかった。
「別に怒っているわけではないのよ」
はあ。
「私は栞奈さんを娘のように思っているの」
「はい」
それは私にも分かっている。
ここにいる間も、とても大切にしてもらった。
そのことには感謝の気持ちしかない。
「ただね、栞奈さんは昔の自分と重なるの」
懐かしそうな表情。
私はただ黙っていた。
久しぶりねと迎えられ、懐かしさで一杯になった。
ほんの1ヶ月ほど前までここで暮らしていたはずなのに、今は思い出のようになってしまった。
「落ち着いたの?」
「はい」
「ごめんなさいね。あなたを巻き込んでしまって」
奥様が謝ってくださるけれど、
「いいえ、私にも原因があったと思いますから」
きっと誰が悪いわけでもなく、運命だったんだと思う。
少なくとも今はそう思える。
「希未ちゃん、ごめんね。途中で家庭教師を辞めることになって」
帰宅した希未ちゃんも混じって、女子3人でお茶を頂いた。
「大丈夫です。栞奈さんのお陰で随分成績も上がったんですよ」
「そう」
それは良かった。
「ねえ、栞奈さん」
奥様の真面目な顔。
「何でしょう?」
「渉と付き合っているの?」
「・・・」
答えられなかった。
「別に怒っているわけではないのよ」
はあ。
「私は栞奈さんを娘のように思っているの」
「はい」
それは私にも分かっている。
ここにいる間も、とても大切にしてもらった。
そのことには感謝の気持ちしかない。
「ただね、栞奈さんは昔の自分と重なるの」
懐かしそうな表情。
私はただ黙っていた。