コイノヨカン
「栞奈」
階段で1階まで駆け下り、声をかけた。
「渉さん」
振り向いたその目には涙が溢れていた。
「すまない。送ってやれないけれど、また連絡するから」
俺にはそんな言葉しか、かけてやることができなかった。
それなのに、
「ごめんなさい」
俺に向かって謝る栞奈。
何を言っているんだ、謝るのは俺の方なのに。
「渉、戻りなさい。皆さんお待ちなのよ」
追ってきた母さんの声。
できることなら、このまま栞奈と逃出してしまいたい。
でも、俺にはできないんだ。
「渉さん、私はいいから戻って」
「しかし・・・」
結局、俺は栞奈の手を離した。
階段で1階まで駆け下り、声をかけた。
「渉さん」
振り向いたその目には涙が溢れていた。
「すまない。送ってやれないけれど、また連絡するから」
俺にはそんな言葉しか、かけてやることができなかった。
それなのに、
「ごめんなさい」
俺に向かって謝る栞奈。
何を言っているんだ、謝るのは俺の方なのに。
「渉、戻りなさい。皆さんお待ちなのよ」
追ってきた母さんの声。
できることなら、このまま栞奈と逃出してしまいたい。
でも、俺にはできないんだ。
「渉さん、私はいいから戻って」
「しかし・・・」
結局、俺は栞奈の手を離した。