コイノヨカン
ピンポーン。

過去に何度か鳴らしたことのあるチャイム。
その度に、追い返されたっけ。

「はーい」

ガチャッ。
玄関のドアが開き、お母さんが顔を出した。

「あなたは・・・」
驚いた顔。

俺はかまわず玄関に入った。



「何のご用でしょうか?」
しばらくして、お父さんが奥から出てきた。

「突然申し訳ありません。僕は、どうしても栞奈さんが忘れられません。もう1度だけ、栞奈さんとお付き合いするチャンスをいただけないでしょうか?」

「はあ・・・そんな・・・今になって」

確かに、その通りだ。
半年も前に別れると決めながら、今更現れるなんておかしいと思う。
でも、気付いてしまったんだ。
俺にとって栞奈は特別な存在。
忘れることなんてできないと。
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